ことばの種(STさんのつぶやき)

読書感想文教室

私事ですが、松山市内の学習塾で開催された「読書感想文教室」に親子で参加してきました

 

「STってことばの専門家じゃないの?」「子どもの読書感想文、自分で指導しないの?」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

STは「話しことばの専門家」です。

読み書きの学習や、文の理解、主語・述語関係の適当な文を作れるようにアプローチすることはありますが、

1000字を超える長文を書くことには、通常介入しません。

 

また、我が子が1年生の時、感想文を書かせながら泣かせてしまって以来、

作文にはあまり口出ししないことにしています😭

 

さて、その読書感想文教室で、「これはいいな♪」と思ったことを2点、ご紹介します。

 

①子どもに⭕️をつけましょう。

できないこと、大人の意図に合わないことを指摘するのではなく、

いいところ、すてきなところを伝えてあげるようにとの、保護者へのアドバイスがありました。

なるほど、せっかくがんばっているのだから、いいところを認めてもらえた方が、

嬉しいし、意欲も高まりますよね💡

 

②小道具として配布されたじゃがりこ🍟

感想文を書く準備として、考えをまとめるためのシートを作成したのですが、

視覚的にわかりやすく表すために、じゃがりこのパッケージの底を使って、紙面に円を描きました。

「お勉強」なのに、スナック菓子が登場する意外性で、教室全体がなんだか楽しい雰囲気に包まれました。

簡単にきれいな○が描けて、がんばった後のお楽しみにもなり、子ども達の意欲を引き出すすてきな仕掛けでした💕

我が家の場合、帰宅してから、じゃがりこをポリポリ食べながら、

学習したことを思い出したり、達成感に浸ったり…余韻を楽しんでいました。

 

子どものいいところに注目し、子ども自身に伝えてあげること。

子ども自身の力で簡単にできて、楽しめる工夫をすること。

活動したことに関し、満足感を持って振り返る機会を作ること。

これらのことを、普段の子育てやセンターでの活動にも取り入れていこうと思います。

 

ちなみに、私は毎晩我が子に「今日も元気でかわいかったから、世界一偉い!」と言い聞かせています。

ハイタデンカ

ある日、Aちゃんが登園してすぐに口にしたことばです。

 

「ハイタデンカ」…❓

一瞬、何のことだか分からず、スタッフ一同キョトンとしてしまいました。

 

でも、ちゃんと手がかりはありました。

①自分のほっぺを指差すAちゃんの仕草

②Aちゃんが妖怪👻を気に入っていること

③付き添って来られたお家の方の「歯🦷が痛くなるんだよね」という声かけ

「水木しげる 世界の妖怪大百科」2005.11.20より

 

これら、3つのヒントから得られた答えは、ベルギーの妖怪「歯痛殿下」ですね。

 

「歯痛殿下」を知っていれば、お気に入りのお化けの名前で、「歯が痛い」ことを伝えることもできそうですね。

 

ところで、Aちゃんのご家族のすごいところは、Aちゃんの興味や、覚え始めたことばをしっかり把握していて、

伝えようとしていることを、上手にくみ取っていらっしゃるところです。

ご家族のこうした関わりが、Aちゃんのコミュニケーション意欲を高め、

ことばの発達につながっているのでしょうね。

また、スタッフにもAちゃんの興味・ことばの情報を共有してくださるのも、

センターでの活動の大きな助けになっています。

 

何に興味を持っているのかな?園やセンターでどんな活動をしたのかな?といった情報を、

関わる大人みんなで共有することで、お子さんのことばがくみ取りやすくなります。

お子さんの「話したい」意欲を高める環境を、ぜひ一緒に作っていきましょう❗️

水遊びと中耳炎

夏です🍉

暑い日が続きますね🌞

センターの子ども達も、晴れた日には水遊びを楽しんでいます🏊‍♂️

海水浴やプール、スイミングを楽しみにしているお子さんも多いかもしれませんね。

 

水遊びで気になることの1つが中耳炎でしょうか?

プールなどで水に潜ると、耳に水が入って中耳炎の原因になるのではないか?!

とご心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

結論から申し上げると、耳に入った水が中耳炎の原因になることは、基本的にはありません。

 

中耳炎とは、鼓膜の奥にある「中耳」に菌が入り炎症が起こる病気です👂️

そう、鼓膜の奥です。

外耳道(耳の穴)と中耳の間は鼓膜で区切られていますから、何らかの事情で鼓膜に穴が空いている場合を除いて、

耳から入った水や菌が中耳に侵入することはありません。

(その場合は、中耳炎よりも前に、聞こえ方に問題が生じるでしょう。)

 

では、水や菌はどこから中耳に入るのでしょう?

大抵の場面、それは鼻🐽からと言われます。

 

中耳には、鼓膜に伝わった音(振動)を増幅するための耳小骨と呼ばれる小さな骨があり、

その周囲は空気で満たされています。

(中耳炎では、ここに膿(液体)が溜まることで鼓膜や耳小骨の動きが阻害され、聞こえづらさにつながります。)

この中耳内部の気圧調整(気圧の変化でもまた、音の伝わり方が変化します。)のための空気穴があり、

耳管というパイプで上咽頭後壁とつながっています。のどの最上部、鼻の奥です。

 

この耳管、大人の場合は、細長く、耳側が上になるように斜めになっているため、

鼻から耳に水や菌が入りにくい構造になっています。

 

でも、お子さんの顔をよく見てみてください。可愛いですねハート

大人よりも顔が小さく、耳と鼻の距離が近いですよね。

それから、目や耳の高さ。大人に比べて、顔の低い位置にあります。

つまり、子どもの耳管は短く、水平に近い…、言い換えると、水や菌が鼻から耳に侵入しやすい構造になっています。

小さなお子さんが中耳炎になりやすいのは、このような構造的な原因があります。

 

さて、水遊びと中耳炎。

耳から水が入ることよりも、水遊びやクーラーで身体が冷えてしまって、

鼻水たら~り…の方が、中耳炎の原因としては大きそうです。

水遊びのあとには、しっかり身体を拭いて、風邪をひかないように気をつけてあげましょう。

風邪をひいてしまったら、早めの病院受診を。

中耳炎による聞こえづらさだけでなく、鼻づまりでの発音のしづらさも、

子どものことばの発達に影響することがありますよ。

(私はン十年前、鼻づまりのせいでマ行の発音ができないのがイヤで、

 長いこと同年代の子どもとしゃべりませんでした…。)

 

因みに、中耳炎は治療で治りますし、中耳炎そのものがうつることはないので、

熱や痛みがなければ登園していただいて大丈夫ですよ。(水遊びの可否はお医者様にご相談くださいね。)

もうすぐ夏休み🍉

①まず、絵本をたくさん読み聞かせます。

②読み聞かせる絵本に、「おいてけぼり」(さねとうあきら著.1998.5.1)等、

 のっぺらぼう👻の登場するものを多めにしていきます。

③子どもと2人、お部屋で遊びます。

④両手で顔を覆い、うつむきます。

⑤少し低めの声で「お前さんが見たって言うのは…(ためます)、こんな顔だったのかい?」と言いながら、

 ゆっくり顔を上げます。顔は隠したままです。

⑥…子ども、泣きます。大号泣です😭

 

これは、ちょっと良くない例ですね😓

我が子が3歳くらいの頃のエピソードです。ごめんね、我が子…。そんなに怖がると思わなかったの。

 

両手で顔を隠した母なんて、別に怖くなんてないと思うのです。

でも、絵本を繰り返し読み聞かせることで、セリフと「のっぺらぼう」が結びついていたのですね。

また、「のっぺらぼうは怖いもの」という認識ができあがっていたのでしょう。

 

私の単なるイタズラ心で、我が子にはかわいそうなことをしてしまいました。

でも、これって、計画的に活用すれば、新しい経験をするための準備として使えますね。

 

例えば、病院受診、学校や保育園・幼稚園等の行事、冠婚葬祭。

今の時期なら、夏休みに旅行や、遠方の親戚と久しぶりに会う予定のある方もいらっしゃるかもしれません。

 

どこに行くのか、誰と会うのか、どんなことをするのか…。

関連する絵本を読み聞かせてあげたり、一緒に動画を見たり、簡単な説明をしてあげながら

写真や絵を見せてあげるのもいいですね。

 

初めての出来事は、誰だって不安です。

小さな子どもなら尚更です。

人見知り、場所見知りのあるお子さんには、こうした下準備をすることで、緊張を軽減できることがありますよ♪

 

※先週7月11日は、都合によりお休みさせていただきました。

お知らせ

今週のみ、諸事情により更新が週末となります。楽しみにしていただいている皆様にお詫び申し上げます。

アザラシは魚の仲間か?

最近、絵カードが気に入っているAちゃん。

箱から取り出したカードを机の上に広げ、右手で取り、左手に持ちかえ、スタッフに手渡します。

そのカードをもう1度右手で受け取ってから、1枚ずつ箱にしまいます。

 

一見すると単調な作業をしているように見えますが、絵を見て確かめ、ちゃんと上下の向きを揃えています。

また、Aちゃんなりの選考基準で、次に箱に入れるカードを選んでいるようです。

 

Aちゃん、今はまだ発語はなくて、大人の声かけにも確実に応じられるというわけではありません。

でも、このことイコール「わからない」ではないのです。

声かけだってちゃんと聞いてくれています。

 

その証拠に…。

カードのやり取り時、「いぬ、わんわん!」「カニ🦀、チョッキン」などと

描かれているものの名前を言っているうちに、スタッフのことばを期待して待つ様子が出てきました。

スタッフが黙っていると、「え、言わないの?」といった表情で不思議そうにしています。

少し遅れて名前を言うと、「えへへっ😄」と大満足。

 

絵カードの中には、絵の描かれていない文字だけのカードが2枚あります。

「これは説明書だね」と言うと、神妙な表情でじっくりと観察。

スタッフが「説明書」と呼ぶカードが2枚あることにも気づいていて、時々じっと見比べています。

 

本当のところ、どのくらい理解しているのかは、はっきりとは分かりません。

ただ、Aちゃん、それぞれの絵に、対応することばがあるらしいことには気づいたようですね。

 

そして、もう1つ、Aちゃんの気づき。

この絵カード、「うみのいきもの」と「どうぶつ」の2種類があり、「アザラシ」のカードは、

どちらのセットにも入っています。ふわふわ毛皮をまとったかわいい赤ちゃんアザラシです。

Aちゃん、サケやカツオ、イカ等の中にアザラシのカードが入っていることに違和感があるようで、

「うみのいきもの」の時には、手に取った後、必ず1度机に戻します。

そして、イルカやシャチを箱に入れた後に、ようやく納得してアザラシを箱に入れます。

 

まだ、Aちゃん自身もはっきり認識してはいないようですが、カテゴリー理解の始まりですね。

でんでんむしむし♪

センターでカタツムリ🐌が流行中なので、便乗して…。

今日は、お子さん達の言葉の発達とは少し離れたお話を。

 

デンデンムシ、カタツムリ、マイマイ、蝸牛(かぎゅう)…。

呼び方は色々ですが、これ、全部🐌のことですね。

 

STの領域で🐌蝸牛(かぎゅう)と言えば、「内耳(ないじ)」。

振動として伝わった「音」を、電気信号に変換して受容する器官です。

内部はリンパ液で満たされていて、カタツムリの殻(から)のように本当にぐるぐると

渦(うず)を巻いているんですよ!

音の高さを判断したり、受信した音に反応して、細胞そのものがダンスをするように動いて音を増幅したり…。

とても精密で神秘的な器官です✨

 

それから、ことばとの関わりで言うなら、柳田國男『蝸牛考』が有名です。

都(文化の中心地)で使われることばが、人々の移動や交流によって地方へと伝わっていき、

都では使われなくなった古いことばも、より遠く離れた地域には方言として残り続けます。

そのため、都(日本の場合は京都でしょうか。)からの距離が同じくらいの地域のことばには

似た語彙があるという説があり、柳田國男氏はこれを「カタツムリ」の呼び方の地域差によって論じています。

(『蝸牛考』の説明としては大ざっぱすぎますが、ご興味のある方は実際に読んでみてください)

松本清張『砂の器』で、この学説(方言周圏論〈ほうげんしゅうけんろん〉と言います)が

事件の鍵🔐となっていますから、推理小説ファンの方はご存知かもしれませんね。

 

ちなみに、こうして伝わっていくことばの速度はおよそ1km/年。

(井上史雄『日本語は年速1キロで動く』2003.7.1から)

これは、カタツムリの移動速度と同じくらいだそうですよ🐌

(でも、新型コロナの流行で、インターネットが劇的に普及した現在だとどうなっているんでしょうね?)

皆さんのおかげで…

センターの子ども達の中には、ちょっとした声かけの仕方(しかた)で

癇癪(かんしゃく)を起こしてしまう子もいます。

こうした子ども達って、「激しい」「気性が荒い」と言われがちです。

でも、そうではないような気がします。

 

ことばや、その他の刺激に対して人一倍デリケートな子のように感じます。

 

ここ、愛媛県の方言・伊予弁について、司馬遼太郎は「坂の上の雲」の中で、

喧嘩(けんか)には向かない、日本一「悠長な」ことばだと述べています。

ゆったり、のんびりしたことば遣いに慣れているので、

他地域のキツメに聞こえてしまう方言に触れたときには、少々びっくりすることがあります。

 

大人の声かけで癇癪(かんしゃく)を起こす子の気持ちって、ちょっとそれに似た部分があるのかなと思います。

言われていることがわからないわけじゃないんだけど、「ダメ」と否定されたことが強く印象に残って、

反発してしまう…。

 

なので、なるべく優しい声とことばを選んで、「○○してはダメ」ではなく、「△△しよう♪」と誘うことで、

うまく応じてくれることがあります。

 

センターでこうした工夫をしているうちに、大人同士のやり取りや家庭でも、

同じような関わり方が癖になってきました。

…すると、小学生の我が子がよく言うことを聞くようになりました!

 

無意識に、もう小学生なんだから、「こんなの言わなくてもできるでしょ!」

「どうしてちゃんとしないの!?」のような言い方になってしまい、

混乱させたり反発させたりしてしまっていたみたいです。

 

センターの子ども達のおかげで、我が子への対応を見直す機会になりました。

皆さん、ありがとう❤️

 

…でも、一切癇癪(かんしゃく)が起きないようにはできないし、

特にご家庭では、常にじっくり配慮して声かけするのも難しいですね。

お子さんが癇癪(かんしゃく)を起こすからといって、お子さんが悪いわけでも、

親御さんの関わり方が悪いわけでもないですよ!

お子さんがスムースに動ける方法を、一緒に試行錯誤していきましょうね。

走る!!ST!

何を隠そう、私は体を動かすことが大の苦手です😫

学生時代、走れば先生から「真面目に走れ!」と怒鳴られ(全速力なのに!!)、泳げば沈む…。

 

そんな私ですが、今は園庭で子ども達と一緒に走る、走る、走る!

本気の追いかけっこです。

 

STがどうして追いかけっこを?

それは、楽しく体を動かしながら、「ぼくのこと、おいかけて!」「ねえねえ、にげて♪」と遊びに誘うことや、

「タッチしたら交代だよ」という簡単なルールを理解するためのステップとして、ちょうどいいからです。

みんなで大笑い😄しながら走り回っていると、普段はお友だちの輪に入るのが苦手な子も、なんとなく加わって、

一緒に遊べることもあります。

 

そらチーム・にじチームの子ども達の多くは、まだ追いかけっこのルールを完全には理解していません。

だから、ただただお友だちやスタッフと走り回るのが楽しくて、ST、延々と追いかけ回すこともしばしばです。

 

そんな時、くじらチームのお兄さん・お姉さんがいると、大活躍してくれます❗️

「Aちゃん、タッチだよ。」「つぎはBちゃんだよ、いっしょにおいかけよう!」と声をかけ、手を引き、

小さなお友だちがルールに沿って遊べるように優しくサポートしてくれます。

走り疲れてヘロヘロしているSTの様子に気づいて、鬼役をタッチ交代してくれることもあります。

(なんて優しい!)

 

親御さんの体力づくりと、お子さんとのコミュニケーションに、追いかけっこ、オススメですよ。

とまと、ちょうだい!

ミニトマト🍅、大好きなお子さん、多いですね。

センターの給食にも、ミニトマトはよく登場します。

 

にじチームの給食での1コマです。

 

ミニトマトがだ〜い好きなAちゃん、自分のお皿のものを食べ終わると、

ジェスチャーで「おかわり、ちょうだい」と伝えてくれます。

スタッフのお皿のミニトマトを指差して、「もう1回」と「ちょうだい」のジェスチャーを続けることで、

「これ、もう1個、ちょうだい」と伝えてくれることもあります。

 

最近、Aちゃんと私が気に入っているやりとりです。

 

私:はい、トマト、どうぞ。1個、2個…○個あげるね。

Aちゃん:(もぐもぐ)いち…、(もぐもぐ)に…、(もぐもぐ)さん…。

 

発音は明瞭ではありませんが、指を立てながら「5」まで数えることができます。

「6」以上になると(片手の指では足りないので)、「5」の指を繰り返しながら、

「あれ?」という表情で首を傾げています。

…ということは、たぶん「6」以上も頭の中では数えることができているのでしょうね。

 

先日、ちょっと試してみたのが…。

「トマト、何個欲しい?1個?2個?3個?」

 

…Aちゃん、ちょっと考えてから、かわいいおててを「パー✋」にして、「お(5)!」と答えてくれました❗️

お皿の上のミニトマトは、5個でした🍅

 

数字の順番通りに追わなくても、ちゃんと数えることができているんですね。

おみそれしました…。

 

はっきりとした「ことば」が出にくいお子さんの場合、何も分かっていないように思われがちで、

意思確認をしてもらえる機会が少ないことがあります。

でも、「ことばでの発信が少ないこと」と、「わからない」ことは、イコールではありません。

時々、こうして質問を投げかけてみるといいかもしれませんね。

 

ちなみに、私のお皿のトマト🍅(もちろん、お箸をつける前の物ですよ)は、

Aちゃんのお腹に収まることが多いのですが、私は実はトマトが苦手なので、2人はwin-winの関係です❤️

「やりとり」の始まり♪

4月から毎日の登園が始まったAちゃん。

ことばはまだありません。

ママが大好き💕な可愛いお子さんです!

 

入園当初は、ママ以外の大人にはあまり興味がありませんでした。

多分、「ママ」と「ママじゃない人」くらいの認識だったのかな?

はっきりとした感情表現も少なく、思い通りにならない時に「う〜!」と唸り声をあげて怒る程度でした。

 

でも徐々に、様子が変わってきました。

目が合うことが増え、ニコニコ笑顔も見えるようになりました。

遊びの中で「えへへ」と声を立てて笑うことも出てきました。

 

お気に入りのスタッフと、「その他」のスタッフの区別も出てきました。

そのスタッフの姿が見えると、それまで握っていた別のスタッフの手を「ぽいっ!」とばかりに放して、手をつなぎに行きます。

 

そして、近頃お気に入りの遊びが…。

大好きなスタッフがCD💿をかけると、満面の笑顔で駆け寄り、「ぴっ」とボタンを押し、音楽を止めてしまいます!

そして、顔を見て「えへへへ!」と笑いながら、その場で跳ねるように身体を揺すります♫

もう一度、音楽を流すと、また同じように…。

 

まだ明確な「ことば」ではないけれど、やりとり遊びの始まりですね。

相手を認識し、「楽しい!」「嬉しい!」等の気持ちを共有することから、ことばは生まれてきます。

視線を合わせたり、笑い合ったり、時には泣いたり怒ったりするのに寄り添ったり…。

直接的な「ことば」のやりとりこそしていなくても、こうした積み重ねがお子さんの中のことばの芽🌱を育てます。

ときめきとルーティン

怖いお話をしましょう…。

 

私が子どもの頃、我が家にはピアノがありました。

グランドピアノです。

先祖代々受け継がれてきた…訳ではなく、ピアノを習い始めた小学生の私のために、両親が買ってくれたものです。

 

それの、何が怖い話なのかって?

 

実は私、ピアノが弾けません!

人前で披露できるレベルではない…なんて次元の話ではなく、本当に。

階名を呟きながら、右手でメロディをたどるのがやっとです。

左手?

左手は「グー✊」で待機です。

 

では、このピアノが無駄な買い物だったかというと、そうでもなく…。

 

練習嫌いだった私が、このピアノが嬉しくて、自主的に練習するようになりました。

…2〜3か月の間は。

楽譜がある程度読めるようになったことと、演奏できないなりにも音楽を楽しいと思えるようになったことは、

私にとって大きな収穫だったと思います。

上手に弾けなくっても、グランドピアノって、やっぱり心ときめきます❤️

 

ただし…。

グランドピアノです。

普段の生活スペースには置けなくて、離れの部屋に置くことになりました。

玄関を出て別棟に行くのは、やっぱりちょっと面倒くさい😓

なので、あまり長続きはしませんでした。(大人になった今では、両親には申し訳なかったと思っています…。)

 

子ども自身の「やりたい」意欲を引き出すために、心ときめく仕掛け✨は有効です。

同時に、習慣として定着させるには、日常の動きの中で、自然に取り組める工夫もまた大切ですね。

シロツメクサの花が咲いたら♪

このタイトルをメロディ付きで読んでしまった方は、きっと私と同年代(40代半ば)以上かなと思います…。

 


クローバーの花がたくさん咲きました☘️

なんだかうれしくなって、花冠👑を作ってみました。

 

すると、周りに集まって手元をのぞき込む子が数名…。

「何をしているのかな?」と、作業そのものに興味のある子もいれば、花冠を作っているのだとわかって、

「ちょうだい」と言いにくる子もいます。

せっせとお花を摘んで手渡してくれる子もいます。

くじらチームのAちゃんは、「それの次、ぼくのも作ってね。この葉っぱ🍀も入れてね。」と、

デザインの提案もしてくれました。

なるほど、その通りにすると、少し可愛らしさが控えめになって、Aちゃんによく似合ってステキです✨

 

せっせと花冠を作った私ですが、実は子どもの頃は作れなかったんです…。

先日のブログで、認知の方法として視覚・聴覚が主で、伊予くじらには視覚優位のお子さんが多いと書きました。

それ以外に、言語での認知が得意な人もいます。

 

私自身は言語優位で、視覚認知はとっても苦手です。

…なので、友だちが花冠を作って見せてくれるやり方がどうにもわからなくて、ついに作れるようにはならず💔

大人になってから、「昔の遊び(!)」の本で、図解と文章での説明を読んでようやく作れるようになったのです。

 

「見てわかる」指示や説明が多い幼稚園・保育園に対して、小学校に上がると「聞いてわかる、読んでわかる」

ことが求められるようになります。

私の場合は、「ぼんやりしてトロい子」だった幼稚園時代に比べ、就学後の方が色々なことがわかりやすく

(逆に、急に困り事が増えるお子さんも多いことでしょう)、ぐっと楽になりました。

それでも、あの頃の、先生や周りの子ども達の言っていることや求められている内容が、

なんだかぼんやりとしてわかりづらい、あの不安感と孤独は、記憶の底にうっすらと残っています。

 

大人の言っていることが伝わりにくかったり、言うことを聞けなかったりするのは、

性格や発達の要因だけでなく、こうした認知特性による場合もあるかもしれません。

周囲の大人が、その子に伝わりやすい伝え方、説明の仕方を工夫してあげるのも大切だな…と、

可愛いお花と、子どもたちのキラキラ笑顔🤗を見ながら、昔々のほんのり苦しい気持ちを思い出しました。

「伝える」ということ、「伝わる」ということ

先日のブログ「うしさんのジェスチャー🐮」に、たくさんの案が集まりました。

ジェスチャーを真剣に考えてくださった皆さん、ありがとうございました。

お1人お1人にお返事をしたいのですが、予想を超えてたくさんのご意見をいただきましたので、

この場を借りてお礼申し上げます。

 


そのジェスチャー案ですが、多かったのは、両手の人差し指を立てて額の横で角を作るもの、

片手で輪を作り鼻の下にあてがうものの2点でした。

中には、それらに加えて頭を大きく左右に振って猛牛を表したり、片手で「角」、

もう片方の手で「鼻輪」を作るというパターンも…。

 


アドバイスをくださった皆さんの多くが共通しておっしゃっていて、印象的だったのが、

「平凡なのですが」「ありきたりなものしか思いつかなかった」等のことばです。

 


平凡でありきたりでこそ良い!と思います。

…と言うのも、自分が「伝える」いうことに主眼を置くと、どうしても自分らしいアピールを

含めたくなるのですが、果たしてそれで「伝わる」のかな?という問題があるからです。

ことばの最も単純で重要な役割は「意思伝達」であり、コミュニケーションのためのツールです。

まずは「伝わる」ことが大事!(これは、ジェスチャーだけでなく、普段の口頭での会話でも同じですね。)

 


また、ベビーサイン👶、手話✋、マカトンサイン等、「うしさん」以外のジェスチャーを考えるヒント

となりそうな方法を提案してくださった方もいらっしゃいました。

ジェスチャーを、より多くの人とのやりとりや、「ことば」につなげていけるように、

私もしっかり勉強していこうと思います。

 


さて、「うしさん」にどの案を採用するかは…、「Aちゃん」に相談してみます😄

「問題児」ではないの!

今日は、センターの子どもたちが共通して抱える「困りごと」を1つ、ご紹介したいと思います。

 

人は、いろいろなことを認識・理解するのに、主に視覚と聴覚から情報を得ています。

多くの人は、視覚・聴覚両方を活用しているのですが、センターの子どもたちは、視覚優位の子が多いようです。

こうした、視覚優位の子どもたちは、集団生活の場や学校等では問題視されやすい(行動を「問題視されやすい」

ことと、その子が「問題児だ」ということは違います!)かもしれません。

 

…というのも、聴覚情報が時間軸に沿って一直線に、極端に言うなら1つ1つ順番に耳に入ってくるのに比べ、

視覚情報はそこに広がる全て(子供の場合、顔の前、左右90度、上下70度くらいでしょうか?)が

一気に眼に飛び込んでくるわけです。

 

想像してみてください。

 

目の前に、珍しいもの、初めて見るもの、素敵なものがたくさんたくさん広がっている世界を!

「落ち着いて!」「それに触らないで!」「これだけ見て!」と言われても…。

私ならとってもテンションが上がって浮かれちゃいます!

その上、周囲が音にあふれていて、人の声が耳に入りにくい状態だとしたら?

 

じゃあ、どうすればいいのでしょう?

 

目に入る情報を少し減らしてあげましょう。

使っていないおもちゃを、お子さんに見えない場所にしまうだけでも、今していることに集中しやすくなります。

もう少し大きいお子さんなら、聞いてほしいことをイラストや文字で書いて見せてあげると、伝わりやすいです。

声かけで伝えるなら、短く、簡単なことばで、お子さんの側で。

(長く難しいことばも、遠くからの声かけも、理解する力はあるかもしれません。

でも、視覚からの情報に夢中になっている時には、応じるのがちょっとめんどくさいんです…。)

 

「問題視されやすい行動」には、そうなってしまう理由があります!

「問題児」なんかじゃないです!!

わかりやすい環境、伝わりやすい伝え方を工夫してあげれば、ぐっと応えやすくなります。

それぞれのお子さんにとって適した環境・伝え方を一緒に見つけていきましょうね。

「うしさん」のジェスチャー募集!

まだことばの少ないAちゃん。

ジェスチャーで色々なことを伝えてくれます。

 

両方のほっぺに握りこぶしを当てて「アンパンマン」。

手のひらをキラキラ動かして「星」。

丸、三角、四角、ハート💕等々。

 

他にも、動物の写真を見ながら、色々なジェスチャーを工夫してくれます。

頭のてっぺんで握り拳を縦にくっつけて「きりん」の長い首を表現したり、

目を指差して「メエメエ、ひつじさん」を表現したり

とってもクリエイティブです。

 

こうしたやりとり遊びを通して、コミュニケーションの楽しさ、伝わる喜びを経験していくことが、

「ことば」につながっていきます。

「アンパンマンだね。」「キラキラ、お星様だね。」等と、ことばを添えて受け止めてあげてください。

 

そんなAちゃんが、今、工夫を重ねているのが、「うしさん🐮」です。

握りこぶしをこめかみに当てて耳(?)のようにしてみたり、輪にした手を片眼に当てて

お顔のぶち模様を表してみたり

しっくり来ないのか、困ったように大人の顔を見て首を傾げる様子はとても可愛らしいです

 

「うしさん」、おすすめのジェスチャーはないでしょうか?

何かいい案がありましたら、ぜひ伊予くじらSTまで!

STの子どもの言うことには…。

私には小学生の子どもが1人います。

STの子どもなら、ことばが達者で、国語の成績が良さそう…って、思いますか?

残念ながら、そんなことはなく、良くも悪くも平均点の子です。

ただ、小さな頃から色々な検査(年齢・発達に合わないものも含め)の練習台に使われたり、

ことばや気持ちについて執拗に質問されたり…という母からの迷惑行為に慣れているので、

同年代の子どもより少し寛容な性格かもしれません。

なので、発達やことばに関する質問にも、わりと真摯(しんし)に答えてくれます。

 

さて、そんな我が子にした質問とその答えです。

Q.どうして「ことば」を覚えようと思ったの?

A.指差したり、泣いたりしてもお母さんがわからないから、喋れるようになった方が早いと思った。

(察しの悪い母でごめん…。)

 

…だそうですよ!お父さん、お母さん!

お子さんのことばが気になる時、「なんとか聞き取ってあげなくては」とか「わかってあげられないなんて、

親として情けない」なんて、思い詰めていませんか?

時には伝えたいことを読み取ってもらえないことも、子どもにとっては話したいと思う動機になるようです。

 

お子さんの言いたいことがわからなくても、今のところは、まあいいじゃないですか。

指差した先を一緒に見たり、ことばや表情、仕草を真似たり、「そうだね、〇〇、きれいだね」等と

お子さんのことばを補ってあいづちをうってあげたり…。

共感を示しながら聞いてあげることで、「お話してくれてうれしいよ」という気持ちを伝えて上げてください。

今はわからなくても、やりとりを楽しむことが、きっと「ことば」の発達をサポートしてくれますよ。

どうして食べないの?

お食事が進まないのは何故かしら?

 

STの立場では、「食べない」のには「食べられない・食べたくない」理由があるのではないかと考えます。

 

例えば、味が嫌い、匂いが嫌い、食感が好みじゃない、見た目がなんかイヤ…。

これも立派な理由です。

今まで何でも食べていたのに好き嫌いが始まったのなら、そういった食べ物の違いが分かるようになり、

好みが出てきたのでしょう。

少しずつ、食べられるものが増えるように工夫しながら、お子さんの成長を喜んであげてもいいと思います

(お食事の準備をするお家の方は大変ですけどね😝)。

 

遊び足りなかったり、視界に入るおもちゃ🧸やテレビ📺などが気になっているということも、

お食事が進みにくい理由としてはよくあります。

可能であれば、食卓の周りを片付けたり、テレビを消したりすると、お食事🍛に集中できるかもしれません。

 

それから、噛む力や飲み込む力が不十分な場合。

硬くて噛みきれない食べ物🍖が、お口の中に長く残ってしまうようなら、ちょっと食べたくなくなりますよね。

飲み込みがうまくできず、むせてしまう時には、食べるのがしんどくてイヤになるのも当然かなと思います。

 

そんな場合には、食べ物の形状を考えてあげてもいいかもしれませんね。

食材を少し小さめに切ってあげたり、軟らかめのものを選んであげたり。

むせることが多いようなら、しっとりした食感のものや、

質感の均一なもの(水分と固形部分が分離したものはむせやすいです)が、食べやすいかもしれません。

お口にいっぱい食べ物をつめ込んでしまうようなら、

スプーン🥄を小さめのものにする(一口の量を減らすため)のも、1つの方法ですよ。

 

もちろん、単に食が細いだけという場合もあるので、お子さんの様子を見ながら、

楽しくお食事を摂れる方法を探っていきたいですね♪

家ではできるのに…

入園、進級おめでとうございます🎉

 

新年度が始まり、期待も不安もたくさんありますね。

少しずつ心配事を軽減し、大きな夢✨を花咲かせたいですね🌸

 

さて、お家でのお子さんと、幼稚園・保育園やセンターで聞かされるお子さんの様子が、

ずいぶん違うな🤔と思われることってありませんか?

 

「家では甘えてばかりなのに、園ではお利口さん」

「園では自分でご飯を食べると聞いているけど、家ではお手伝いしないと食べない」

「家ではしゃべってるのに、園ではことばが遅いって言われる…」等々。

 

特に3つ目。

家庭では年齢相応のことができていると思うのに、発達の遅れを指摘されると、

ちょっとムッ😠とするし、不安になっちゃいますね。

 

どうしてそんなことが起こるのか…というと、家庭と園ではいろいろな環境が違うからなんです。

ご家庭なら、1対1でお話を聞いてあげる時間が長く取れる分、覚えたての、まだおぼつかないことばでも、

緊張せずお話しできるのかもしれませんね。

また、周りにお友だちが大勢いると、気になってしまって、

伝えたいことばがお空に飛んで行ってしまう🦋こともあるかも?

大人の注目も、おもちゃも、お友だちみんなと分け合うので、

大声を出したり泣いたりしてアピールするのも、お子さんなりの戦略かもしれません。

 

それと、もう1つ。

保護者のスキルがとっても高い場合…。

お子さんが上手に話せなくても、会話が成立しちゃうんです。

ひょっとしたら、お父さん・お母さんがコミュニケーションパートナーとして有能すぎるのかも?

(素晴らしいことなのですが、誰もが聞き上手なわけではないので…)

 

どのケースにしろ、「あれ?」「うちの子、そんなんじゃないのに…」と感じたら、

どうか遠慮せず、教えてくださいね。

そういった「家ではこんななんです❗️」という情報は、園(集団生活の場)で、

お子さんが持っている能力を発揮できる環境づくりや、より発達をうながすかかわりの、大きなヒントになります。

卒園シーズンです🌸

3月30日(水)はセンターの卒園式です。

卒園されるお子さん、保護者の皆様、おめでとうございます。

在園のお子さんも、元気に1年間通いました。エラかった!

お家の方も、このコロナ禍で大変なこと、ご心配なことも多かったことと思います。お疲れ様でした。

また、ご自身のお子さんだけでなく、一緒に通うお友達への優しいサポート、ありがとうございました。

 

さて、卒園・卒業に関して個人的に思うことが2点あります。

 

1つは、それぞれの年齢、発達段階での課題は、その時その時にクリアしておくのが、

効率が良いのは確かだな、ということ。

私が言語聴覚士を志したのは30歳を過ぎてからなのですが、その年齢で高校数学

(本当にひどい成績だったのです)の内容を勉強し直すのは、なかなか大変でした。

その点、伊予くじらに限らず、早期に発達支援機関とつながることのできたお子さんたちは、

幸いなのではないかと思います。

 

もう1つは、学ぶこと・人とかかわることが嫌いでさえなければ、本人が強く「やりたい!」と思った時に、

必要なスキルを身につけることは十分可能だということ。

苦手なことでも、学んだり、誰かに教えてもらったりするのがイヤでなければ、まあ、なんとかなる!

 

子どもたちの成長・発達は、一応の「標準」のようなものはあるけれど、実際にはみんなそれぞれ違います。

伊予くじらの子どもたちには、それぞれの成長・発達の段階に合わせたサポートを行うとともに、

生きていく上で必要なことを、楽しみながら身につけられる土台を作っていくことが

できればいいなと思っています。