2022年8月の記事一覧

「ねえねえ……。」

3歳児のAちゃんは、時々内緒のお話をしてくれます。

 

口元に手を当てて、「ねえねえ」と呼びかけ、職員が耳を近付けると「こしょこしょこしょ…」と。

 

昨年の内緒話は、それでおしまいでした。

 

2〜3か月前からは、その後に、「ねえねえ、Aちゃん」という、職員からの内緒話を待つようになりました。

この頃は、まだお話の内容にはあまり興味がなく、いつも「まあっ!」と驚いていました。

 

近頃のAちゃんは、「ねえねえ、Aちゃんってかわいいね💕」 「Aちゃん、大好きだよ♪」等と言うと、「えー、やだー」と言ったり、「うふふ」と笑ったりして、かわいい手で顔を隠します。

照れてるんです。

他にも、お話の内容で、少しずつ違った反応を返してくれるようになりました。

 

実は、Aちゃんは「ことば」はたくさん知っているけど、実際のコミュニケーションの手段としては、あまり使っていないのが課題でした。

 

この「内緒話」、ほんのちょっとした変化のようですが、相手のことばを受け止めて、その内容に反応できるようになったことは、とても大きな1歩なんです❗️

 

Aちゃんの反応(いつもかわいいんです💕)を期待して、さあ、次はどんな内緒話をしようかな?

「イヤだ!」の中身

先週に続いて、子ども達の「イヤだ」のお話です。

 

子どもが「イヤだ」という時、もちろん何かイヤなことがあるわけですが…。

どんなにタイミング良く「イヤだ」と訴えても、または訴えが強くても、

安全や健康に関わることなど、譲歩してあげられないこともあります。

一方で、子どもの「イヤだー!」は、「そのこと」が、

いつも、全部イヤと言う意味とは限りません。

 

子どもの「イヤだ!」には、

①今は気分じゃない

②上手くできないから、やりたくない

③分からないから、やりたくない(何をさせられるのか不安)

④部分的にイヤなことがある

…などの種類があるのではないかと考えます。

 

それぞれの内容を考えてみましょう。

 

①今は気分じゃない

大人でもそういうことはありますよね。

今、テレビがいいところだから、お風呂は後にしたいな…とか。

大人なら、後のことを考えて判断、行動できますが、

小さな子どもにはそれは難しいかもしれません。

大人に理解できるように言えたとしても、「ワガママ」と取られることも…。

子どもは、基本的に今、この瞬間、目の前にある、その現場だけを、

常に全力で生きていますから、遊びを中断して別の活動をすることには

抵抗があることが多いです。

タイミングを見て誘うと応じてくれるかもしれませんよ。

 

②うまくできないから、やりたくない

少し難易度を下げてあげたり、大人が手伝ってあげたりすれば、

「イヤ」じゃない場合があります。

子どもって、大人が思うより、失敗するのが「イヤ」です。

 

③分からないから、やりたくない

ことばだけでの促しだと、(大人に)何をしようと言われているのか分からなくて、

「イヤ」と言っている場合があります。

大人だって、例えば英語で(ペラペラの方もいらっしゃるとは思いますが)

「Let’s ***(←知らない単語)!」と誘われても、簡単に「Yes!」とは応じられないですよね?

そんなことないですか?私はちょっと不安です💦

子どもは、ことばの学習初心者です。

理解しているように見えても、声かけを聞き取れていないこと、わりとありますよ😄

簡単なことばを使ったり、写真・絵・時には使う道具そのものを見せて伝えてあげると、

安心して応じられることがあります。

 

④部分的にイヤなことがある

全部イヤなわけではないけど、ちょっとだけ「イヤ」な要素があることを、

「イヤだー!」と表現する場合があります。

例えば、「お着替えするのはいいけど、その服じゃないの」

「手は洗ってもいいけど、あっちの蛇口がいいの」とか…。

 

…番外編として、「イヤだー!」と言った時の、大人の反応を楽しんでいることもありますね😓

 

このように、「イヤだー!」と言っても、

場面や条件次第では「イヤ」じゃないことがあるんです。

「イヤだー!」をことば通りに受け取って、

「Aちゃんはこれが嫌いだから、ずっとさせない」を続けていると、

経験や成長のチャンスを狭めてしまう可能性があるので、ご注意を⚠️

 

何がイヤか、どうしてイヤか、どうすればできるかを、

子ども自身で説明するのはちょっと難しいです。

「イヤだー!」の内容を、大人がくみ取って、

応じられる条件を作ってあげられるといいですね。

イヤだイヤだ!イヤだー!!

お子さんの「イヤイヤ!」にお悩みの親御さんも多いかと思います。

 

今日はセンターの子ども達の「イヤだ!」のお話をしたいと思います。

 

やりたくないことを提案された時、プイッと横を向いて知らんぷりをしたり、

そっと手で押し返すことで「No!」の意思表示をしていたAちゃん。

最近、職員の顔に自分の顔を近づけて、笑顔でフルフルと首を振るようになりました。

「見て、ぼく、イヤって言ってるよ」

 

思いが叶わないと、泣いて怒って、手で押したり、叩いたりすることのあったBちゃん。

先日は、ボールプールの色とりどりのボールを独り占めしたくて怒っちゃいました😡

でも、ダメなことはわかっていて、床に突っ伏して「もおっ!」と…。

葛藤していました。

「わかってるけど!イヤなんだ!この気持ち、わかってよ!」

 

「イヤだ!」という思いを、「う〜っ!」と声を上げることで表現するCちゃん。

表現方法に大きな変化はないけれど、少しずつ様子が変わってきました。

これまではCちゃん自身にも何が「イヤ」なのかはっきりわからず、

「なんか不快なんだ、なんとかして!」だったのが、

「これはしたくないんだ!」「このおもちゃじゃなきゃイヤだよ!」という訴えに。

時には、お気に入りの職員に「あの人がダメって言ったんだ!」と言いつけるような様子も❗️

 

イヤな時には「うわーっ!」と怒っていたDちゃんは、「お茶飲もう」の声かけに、

「いらん!」と、ことばでお返事してくれました。

 

「イヤだ」を否定的に捉えてしまうことが多いと思います。

実際、我が子に「イヤだ!」と拒否されるのは、ママ(パパ)にとっては辛いことです。

でも、「イヤだ」を表現できることは、とても大切なことです。

怒る、叩くなどの方法で「イヤだ」を表現する時には、「イヤだったね」「こうしたかったんだね」

と代弁してあげる等、より適当な「イヤだ」の訴え方を見せてあげるといいでしょう。

 

また、「いいよ♪」は、ことばやジェスチャーにしなくても、相手の関わりに任せておけば場が成立するので、

「イヤだ!」の表現が強く出るのは、自然なこととも言えます。

 

子どもの「イヤだ!」は、「ママ(パパ)キライ!」ではありません。

①「イヤだ」がわかるようになった。(何がイヤなのかがわかるようになった。)

②「イヤだ」を言える(表現できる)ようになった。

③「イヤだ」を言える関係が築けている。

…等々。

子どもの成長の証拠でもあります。

 

(次回は、子ども達が「イヤだ!」で表現する内容について、考えていきたいと思います。)

読書感想文教室

私事ですが、松山市内の学習塾で開催された「読書感想文教室」に親子で参加してきました

 

「STってことばの専門家じゃないの?」「子どもの読書感想文、自分で指導しないの?」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

STは「話しことばの専門家」です。

読み書きの学習や、文の理解、主語・述語関係の適当な文を作れるようにアプローチすることはありますが、

1000字を超える長文を書くことには、通常介入しません。

 

また、我が子が1年生の時、感想文を書かせながら泣かせてしまって以来、

作文にはあまり口出ししないことにしています😭

 

さて、その読書感想文教室で、「これはいいな♪」と思ったことを2点、ご紹介します。

 

①子どもに⭕️をつけましょう。

できないこと、大人の意図に合わないことを指摘するのではなく、

いいところ、すてきなところを伝えてあげるようにとの、保護者へのアドバイスがありました。

なるほど、せっかくがんばっているのだから、いいところを認めてもらえた方が、

嬉しいし、意欲も高まりますよね💡

 

②小道具として配布されたじゃがりこ🍟

感想文を書く準備として、考えをまとめるためのシートを作成したのですが、

視覚的にわかりやすく表すために、じゃがりこのパッケージの底を使って、紙面に円を描きました。

「お勉強」なのに、スナック菓子が登場する意外性で、教室全体がなんだか楽しい雰囲気に包まれました。

簡単にきれいな○が描けて、がんばった後のお楽しみにもなり、子ども達の意欲を引き出すすてきな仕掛けでした💕

我が家の場合、帰宅してから、じゃがりこをポリポリ食べながら、

学習したことを思い出したり、達成感に浸ったり…余韻を楽しんでいました。

 

子どものいいところに注目し、子ども自身に伝えてあげること。

子ども自身の力で簡単にできて、楽しめる工夫をすること。

活動したことに関し、満足感を持って振り返る機会を作ること。

これらのことを、普段の子育てやセンターでの活動にも取り入れていこうと思います。

 

ちなみに、私は毎晩我が子に「今日も元気でかわいかったから、世界一偉い!」と言い聞かせています。

ハイタデンカ

ある日、Aちゃんが登園してすぐに口にしたことばです。

 

「ハイタデンカ」…❓

一瞬、何のことだか分からず、スタッフ一同キョトンとしてしまいました。

 

でも、ちゃんと手がかりはありました。

①自分のほっぺを指差すAちゃんの仕草

②Aちゃんが妖怪👻を気に入っていること

③付き添って来られたお家の方の「歯🦷が痛くなるんだよね」という声かけ

「水木しげる 世界の妖怪大百科」2005.11.20より

 

これら、3つのヒントから得られた答えは、ベルギーの妖怪「歯痛殿下」ですね。

 

「歯痛殿下」を知っていれば、お気に入りのお化けの名前で、「歯が痛い」ことを伝えることもできそうですね。

 

ところで、Aちゃんのご家族のすごいところは、Aちゃんの興味や、覚え始めたことばをしっかり把握していて、

伝えようとしていることを、上手にくみ取っていらっしゃるところです。

ご家族のこうした関わりが、Aちゃんのコミュニケーション意欲を高め、

ことばの発達につながっているのでしょうね。

また、スタッフにもAちゃんの興味・ことばの情報を共有してくださるのも、

センターでの活動の大きな助けになっています。

 

何に興味を持っているのかな?園やセンターでどんな活動をしたのかな?といった情報を、

関わる大人みんなで共有することで、お子さんのことばがくみ取りやすくなります。

お子さんの「話したい」意欲を高める環境を、ぜひ一緒に作っていきましょう❗️