ことばの種(STさんのつぶやき)
「おかあさん💕」
いつもはバスで通園しているAちゃんのお話。
ある日、お家の方のお迎えで13時過ぎの降園になりました。
急なことだったので、Aちゃんはそうとは知らず、夢の中💤
普段より早くお昼寝から起こされて、ちょっぴりご機嫌斜めだったのですが、
玄関の方に視線を向け、ぱ〜っと顔を輝かせ✨、帰り支度をしながら、話しかけます。
「ねえねえ、おかあさん💕」
聞いたことのないような、甘やかで、優しい声でした。
きっとAちゃん自身が、お家でそんな風に呼びかけてもらっているのでしょうね。
もしかしたら、お父さんがお母さんを、そんな優しい声で呼ぶのを聞いているのかもしれません。
私は、とってもうれしく、温かい気持ちになりました。
…職員室でそんなお話をすると、先輩職員が言ったのは、もう少し踏み込んだ内容でした。
「自分がしてもらったことを、同じように返す力が育っているね」
そう、センターでは、元気いっぱいのイメージが強い(乱暴なわけじゃないですよ!)Aちゃんですが、状況や相手次第で、あんな優しい、甘い声でお話できるんです‼️優しくしてもらってうれしい♪で終わらず、自分も優しく振る舞う力があるんですね。
もちろん、どのお子さんでも、優しい声かけをすれば優しい行動を取れるかというと、そうではなく、それぞれの発達段階によります。
どんなに優しく諭(さと)しても、お子さんにそれを受け止められる段階になければ、癇癪(かんしゃく)を起こしたり、応じられなかったりするでしょう。
時には、大きな声で注意喚起をしたり、駆け寄って抱きかかえる等の直接的な制止をしたりしないと、危険な場面もあるでしょう。
センターでは今後も、それぞれのお子さんの発達段階や状況を見極め、応じやすい声かけや環境を工夫していきます。
*9月12日、9月19日は都合によりお休みさせていただきました。今週のみ9月21日(水)の更新とさせていただきました。楽しみにしていただいていた皆様にお詫び申し上げます。来週からは月曜日の更新となります。
「カピバラだよ!」
ある日のAちゃんとBちゃんのやりとりです。
2人とも、まだはっきりとした発語はないお子さんです。
大人との関わりや、簡単なやりとり遊びはあるのですが、お友達との遊びには今のところあまり興味がありません。
動物の絵カードをめくりながら、職員に動物名を言ってもらっていたAちゃん。
ぎゅっと握った手で、絵が隠れていたため、職員の反応が遅れました。
「あれ?」という表情で動きを止めたAちゃん。
近くでのぞきこんでいたBちゃん。
「か…。か…。」
指差しながら、一生懸命Aちゃんに伝えようとしています。
カードの絵は、カピバラでした❗️
動物の絵カードは、Bちゃんも大好きで、普段からよく並べたり、職員に粘土で同じ動物を作ってもらったりして楽しんでいます。
そうした遊びの中で、「カピバラ」を知っていたのですね。
Aちゃんも、「ふーん。」というように、もう1度カードをながめて、次のカードを探します。
何ということはない遊びの1場面に思えるでしょう?
でも、AちゃんとBちゃん、2人の成長がうかがわれる出来事なんです❗
Aちゃんは、4月に入園した時には、ママ以外の人にあまり興味を示しませんでした。
「僕の❗」と決めた特定の職員に心を許してくれるようになり、少しずつ他の職員にも自分から関わるようになってきました。
そんなAちゃんが、お友達からの関わりを受け入れたのは、大きな1歩です🙌
Bちゃんは、今、相手が親しい大人であれば、自分から発信することが増えています。
ジェスチャーや、伝えたいことばの1音目を発音してくれることが多いです。
優しく関わってくれるお友達には、笑い返すこともあります。
でも、自分から、それも「ことば」で関わろうとしたのは、多分、初めてでした🎵
Aちゃん、Bちゃん、これからちょっとずつ、一緒に遊べることが増えたらいいな✨
「ねえねえ……。」
3歳児のAちゃんは、時々内緒のお話をしてくれます。
口元に手を当てて、「ねえねえ」と呼びかけ、職員が耳を近付けると「こしょこしょこしょ…」と。
昨年の内緒話は、それでおしまいでした。
2〜3か月前からは、その後に、「ねえねえ、Aちゃん」という、職員からの内緒話を待つようになりました。
この頃は、まだお話の内容にはあまり興味がなく、いつも「まあっ!」と驚いていました。
近頃のAちゃんは、「ねえねえ、Aちゃんってかわいいね💕」 「Aちゃん、大好きだよ♪」等と言うと、「えー、やだー」と言ったり、「うふふ」と笑ったりして、かわいい手で顔を隠します。
照れてるんです。
他にも、お話の内容で、少しずつ違った反応を返してくれるようになりました。
実は、Aちゃんは「ことば」はたくさん知っているけど、実際のコミュニケーションの手段としては、あまり使っていないのが課題でした。
この「内緒話」、ほんのちょっとした変化のようですが、相手のことばを受け止めて、その内容に反応できるようになったことは、とても大きな1歩なんです❗️
Aちゃんの反応(いつもかわいいんです💕)を期待して、さあ、次はどんな内緒話をしようかな?
「イヤだ!」の中身
先週に続いて、子ども達の「イヤだ」のお話です。
子どもが「イヤだ」という時、もちろん何かイヤなことがあるわけですが…。
どんなにタイミング良く「イヤだ」と訴えても、または訴えが強くても、
安全や健康に関わることなど、譲歩してあげられないこともあります。
一方で、子どもの「イヤだー!」は、「そのこと」が、
いつも、全部イヤと言う意味とは限りません。
子どもの「イヤだ!」には、
①今は気分じゃない
②上手くできないから、やりたくない
③分からないから、やりたくない(何をさせられるのか不安)
④部分的にイヤなことがある
…などの種類があるのではないかと考えます。
それぞれの内容を考えてみましょう。
①今は気分じゃない
大人でもそういうことはありますよね。
今、テレビがいいところだから、お風呂は後にしたいな…とか。
大人なら、後のことを考えて判断、行動できますが、
小さな子どもにはそれは難しいかもしれません。
大人に理解できるように言えたとしても、「ワガママ」と取られることも…。
子どもは、基本的に今、この瞬間、目の前にある、その現場だけを、
常に全力で生きていますから、遊びを中断して別の活動をすることには
抵抗があることが多いです。
タイミングを見て誘うと応じてくれるかもしれませんよ。
②うまくできないから、やりたくない
少し難易度を下げてあげたり、大人が手伝ってあげたりすれば、
「イヤ」じゃない場合があります。
子どもって、大人が思うより、失敗するのが「イヤ」です。
③分からないから、やりたくない
ことばだけでの促しだと、(大人に)何をしようと言われているのか分からなくて、
「イヤ」と言っている場合があります。
大人だって、例えば英語で(ペラペラの方もいらっしゃるとは思いますが)
「Let’s ***(←知らない単語)!」と誘われても、簡単に「Yes!」とは応じられないですよね?
そんなことないですか?私はちょっと不安です💦
子どもは、ことばの学習初心者です。
理解しているように見えても、声かけを聞き取れていないこと、わりとありますよ😄
簡単なことばを使ったり、写真・絵・時には使う道具そのものを見せて伝えてあげると、
安心して応じられることがあります。
④部分的にイヤなことがある
全部イヤなわけではないけど、ちょっとだけ「イヤ」な要素があることを、
「イヤだー!」と表現する場合があります。
例えば、「お着替えするのはいいけど、その服じゃないの」
「手は洗ってもいいけど、あっちの蛇口がいいの」とか…。
…番外編として、「イヤだー!」と言った時の、大人の反応を楽しんでいることもありますね😓
このように、「イヤだー!」と言っても、
場面や条件次第では「イヤ」じゃないことがあるんです。
「イヤだー!」をことば通りに受け取って、
「Aちゃんはこれが嫌いだから、ずっとさせない」を続けていると、
経験や成長のチャンスを狭めてしまう可能性があるので、ご注意を⚠️
何がイヤか、どうしてイヤか、どうすればできるかを、
子ども自身で説明するのはちょっと難しいです。
「イヤだー!」の内容を、大人がくみ取って、
応じられる条件を作ってあげられるといいですね。
イヤだイヤだ!イヤだー!!
お子さんの「イヤイヤ!」にお悩みの親御さんも多いかと思います。
今日はセンターの子ども達の「イヤだ!」のお話をしたいと思います。
やりたくないことを提案された時、プイッと横を向いて知らんぷりをしたり、
そっと手で押し返すことで「No!」の意思表示をしていたAちゃん。
最近、職員の顔に自分の顔を近づけて、笑顔でフルフルと首を振るようになりました。
「見て、ぼく、イヤって言ってるよ」
思いが叶わないと、泣いて怒って、手で押したり、叩いたりすることのあったBちゃん。
先日は、ボールプールの色とりどりのボールを独り占めしたくて怒っちゃいました😡
でも、ダメなことはわかっていて、床に突っ伏して「もおっ!」と…。
葛藤していました。
「わかってるけど!イヤなんだ!この気持ち、わかってよ!」
「イヤだ!」という思いを、「う〜っ!」と声を上げることで表現するCちゃん。
表現方法に大きな変化はないけれど、少しずつ様子が変わってきました。
これまではCちゃん自身にも何が「イヤ」なのかはっきりわからず、
「なんか不快なんだ、なんとかして!」だったのが、
「これはしたくないんだ!」「このおもちゃじゃなきゃイヤだよ!」という訴えに。
時には、お気に入りの職員に「あの人がダメって言ったんだ!」と言いつけるような様子も❗️
イヤな時には「うわーっ!」と怒っていたDちゃんは、「お茶飲もう」の声かけに、
「いらん!」と、ことばでお返事してくれました。
「イヤだ」を否定的に捉えてしまうことが多いと思います。
実際、我が子に「イヤだ!」と拒否されるのは、ママ(パパ)にとっては辛いことです。
でも、「イヤだ」を表現できることは、とても大切なことです。
怒る、叩くなどの方法で「イヤだ」を表現する時には、「イヤだったね」「こうしたかったんだね」
と代弁してあげる等、より適当な「イヤだ」の訴え方を見せてあげるといいでしょう。
また、「いいよ♪」は、ことばやジェスチャーにしなくても、相手の関わりに任せておけば場が成立するので、
「イヤだ!」の表現が強く出るのは、自然なこととも言えます。
子どもの「イヤだ!」は、「ママ(パパ)キライ!」ではありません。
①「イヤだ」がわかるようになった。(何がイヤなのかがわかるようになった。)
②「イヤだ」を言える(表現できる)ようになった。
③「イヤだ」を言える関係が築けている。
…等々。
子どもの成長の証拠でもあります。
(次回は、子ども達が「イヤだ!」で表現する内容について、考えていきたいと思います。)