ことばの種(STさんのつぶやき)

「やさしい日本語」

松山市内で行われた、国を越えて防災を考える行事に

参加しました。

その中で、日本語で書かれた防災情報(難解な表現が

多いですね…。)を、他言語話者に伝えるというワーク

がありました。

 

日本語以外を母語とする方に伝わりやすい、日本語表現

を「やさしい(易しい&優しい)日本語」と呼ぶそう

です。

その「やさしい日本語」のポイントとして挙げられた項目

が、子ども達に伝わりやすい話し方とも共通すると感じた

ので、ご紹介します。

 

①1つの文を短くし、簡単な構造にする。

 文が長く、構造が複雑になると、結論が分かりにくく

なりますね。

 最後までお話を聞かないと結末が分からないので、

話し終わるまで我慢して聞く必要があります。小さな

子どもにとってはしんどいです。

 

②難しいことばは、簡単な語彙に言い換える。

 含まれることばの意味がわからないと伝わらないです

よね。

 音声言語だけでなくジェスチャーやイラストなどで

伝えることも有効です。

 

③文末はなるべく統一する。

 日本語学習の初期は「です・ます」調で習うため、

「です・ます」で統一した方が伝わりやすいそうです。

 日本語圏で生活する幼児の場合は、「です・ます」調

である必要はありませんが、尊敬語、謙譲語、その他の

文末表現での細かなニュアンスは伝わりにくいかも

しれませんね。

 

④曖昧な表現は使わない。

 結論が分かりづらくなります。

 小さな子どもも、「ちょっと」とか「少しだけ」と

いう表現は苦手なことが多いです。

 「10数えたら」「1つだけ」など、具体的な数値

を示してあげると分かりやすいですね。

 

他言語話者と、子どもたち。

全く同じというわけではありませんが、日本語学習初心者

という点では共通するところがあります。

異なる分野からも、学ぶことがたくさんあるなと感じた

経験でした。

続・カマキリの音色✨

先週に引き続き、「感覚」の個人差のお話

です。

 

私の場合、「カマキリの音」のように、特

定の動きを見た時に、音を感じることが

たまにあるという程度で、別に困ることも

なければ、役に立つわけでもありません。

 

ですが、こうした他者と違った独特の

「感覚」が、生活や発達の阻害要因となり

得るケースもあります。

 

例えば、特定の音を聞くと怒りや恐怖、

不安など、否定的な感情が引き起こされる

とか、言語音(特定の単語の場合もある

ようです)を聞くと、視界が歪んで見える

とか…。

 

(私はSTなので、音に関連するものを

挙げましたが、聴覚以外の感覚でも、この

ような現象は起こり得ます。)

 

もしも、楽器の音にひどく不安を感じるの

なら、幼稚園・保育園等でのダンスや

お遊戯の時間は、その子にとっては、

つらいものかもしれません。

苦手な音を避けるための退避スペースを

作っておく等の配慮をしてあげたいですね。

 

もしも、「ことば」を聞くと、目の前の

ものがぐらぐらと揺らいで見えるのなら、

「お話を聞いて」という大人の要求は、

その子にとっては難しいことかも

しれません。

口頭での説明は短めに、視覚的な提示が

有効と思われます。

また、将来を見据えるなら、少しずつ

その子に合った方法で文字学習も進めて

いくといいでしょう。

 

他の子ども達と同じに振る舞えない、

働きかけに応じられない原因は、

「わがまま」や単なる発達の遅れ以外の

ところにはないかしら?

もし、他の原因があるのなら、私たち大人

が関わり方を工夫したり、必要な配慮を

することで、子ども達の行動が大きく

変わるかもしれませんよ。

 

*「共感覚」:ある1つの刺激に対し、

通常の感覚だけでなく、異なる種類の感覚

が生じる知覚現象。

共感覚を持つ人は23人に1人の割合である

という研究もありますから、1クラスに1〜

2人はいることになりますね。

 

余談ですが、「共感覚」とは、また別の

感じ方の違いとして、当センターのある職員

は、大人になった今でも、「着ぐるみ」が

怖いそうです。

私は、鳥の羽(特にクジャクやインコなどの

カラフルなもの)が、怖くて触れません。

 

普段、特に困ることなく社会生活を送って

いる大人ですらそうなのです。

まして生活経験の少ない子ども達なら、イヤ

なもの、コワイもの、あるいは好き過ぎて

テンション上がっちゃうものが、私たち以上

にあるかもしれません。

 

お食事や就寝、落ち着いて活動したい場面

では、必要に応じて「刺激」(音や、目に

入るもの等)を調節してあげたいですね。

カマキリの音色✨

実は私、最近まで、カマキリの赤ちゃんたちは、

動きに伴って音がすると思っていました…。

 

「ちょっと何言ってるのかわからないわ⁉️」と

おっしゃる方がほとんどだと思うのですが💦

 

孵化したばかりのカマキリの子が、卵からワラワラ

と出てくる様子を見たことがあるでしょうか?

 

行進するかのようなその様子は、可愛らしく、

微笑ましいのですが、その時に、キラキラ✨と、

小さな金属がたくさんぶつかるような、高く、

澄んだ音♪、ちょうどウィンドチャイムのような

音色が聞こえる…と、感じます。

 

わりと最近気づいたのですが、カマキリの行進に

音なんてないそうですね…。

 

この感覚を、私は「感覚が混線している」と表現

しているのですが、どうやら「共感覚」と呼ばれる

現象に近いようです。

 

「共感覚」とは、ある1つの刺激に対し、通常の

感覚だけでなく、異なる種類の感覚が生じる知覚

現象を言います。

 

例えば、数字や月、曜日等に色を感じる等という

ものが有名です。

音に色や味を感じるという人もいます。

 

ヒトの感覚って不思議ですね。

同じ刺激を受けても、全く違った感じ方をしている

かもしれないんです。

 

次回は、この感じ方の不思議と、子ども達の行動

や、困りごとについて、考えてみたいと思います。

ライナスの毛布

ピーナッツ(スヌーピー)🐶に登場する、ライナスと

いうキャラクターをご存知でしょうか?

 

いつも青い毛布を持っている、小さな天才少年です。

 

ボロボロの毛布ですが、この毛布がないと気持ちが

落ち着かず、天才っぷりを発揮できなくなります😣

 

自分のお子さんや、関わっている周りの方で、切り替えの

手段がなかなか見つからないとお悩みの方がいらっしゃい

ましたら、

この子の好きなものは❓落ち着けるアイテムは❓と、

探してみてあげるといいですね。

 

誰しも「ライナスの毛布」があるのではないでしょうか?

 

センターの子ども達の中にも、お気に入りの

ぬいぐるみ🧸や小さなボール、絵本📕などを持って

登園するお子さんがいます。

(登園後は、紛失・破損などのトラブル防止のため、

カバンにしまっています。)

 

Aちゃんは、どんぐりや、植物の種が好きで、

かんしゃくを起こしそうになると、

「どんぐり欲しい。」

「松ぼっくりちょうだい」

などと言って、タネを握ることで自分を落ち着けようと

します。 

 

ご家族としては、「センターにおもちゃを持って行かせて

いいのかしら?」「特定のものがないと落ち着けなくて

大丈夫なのかな?」と心配になるかもしれません。

 

でも、今は、これでいいんです。

落ち着ける手段を持っていることが大事❗️

 

まずは、「特定のお気に入りがあれば落ち着ける」

ということから。

 

もう一歩進んで、Aちゃんのように、

「これがあれば落ち着ける」とわかって、自分で自分を

なだめる(なだめようとする)ことができれば、更に

エライですね。

 

そして、代わりのものでもいいように、「そのもの」が

なくても、心を収められるように、少しずつシフトして

いけるといいですね。

 

ちなみに、私にとっての「ライナスの毛布」は、

ン十年前に親戚のおじさんから貰った腕時計です。

身につけていなくても、「机の引き出しの中にあの

腕時計がある♪」と思えば、いつだって、

私は無敵です‼️

ある日の攻防

クレヨンって、周囲に紙を巻いているものが多いですよね。

たくさん描いて、クレヨンが短くなってくると、この紙が

邪魔になって色がつきにくくなります。 

お絵描きが大好きなAちゃんは、描きづらくなると、

「これ、剥がして❗️」と、職員にクレヨンを手渡して待って

います。

「紙」のせいで描きづらいこと、紙を少し剥がしてもらうと

描きやすくなることに気づいたんですね。

ある日、十分にペン先が出ていて、

お絵描きに支障がない(ように見える)クレヨンを、

「剥がして❗️」と差し出すことがありました。

 

大人の目には、紙を剥がす必要はないように見えます。

それでも、「剥がしてよ‼️」と繰り返し手渡します。

「使えるよ🖍」と返すと、とうとう自分でペリペリと紙

を剥がそうとします。

 

自分でできるのはいいことなのですが、手が汚れるので、

全部剥がしてしまいたくはないんですよね…。

大人の都合ですが💦

 

さて、そこでクレヨンをじっくり観察してみます。

他のクレヨンは描きづらくなければそのまま使うのに、

このクレヨンだけ、どうしても紙を剥がして欲しいのは

なぜなのでしょう?

 

…よく見ると、Aちゃんの指がちょうど触る部分の紙が、

擦り切れて毛羽立っています。

どうやら、これが嫌だったのですね。

マスキングテープでクルリと巻いてケバケバを抑えると、

納得してお絵描きを続けました🌀

 

発達支援の必要な子ども達は、「こだわりがある」

「切り替えの苦手さがある」と周りの人が困ったり、

言われたりすることがあります。

その「こだわり」は、ほんの些細な、何でもないことの

ように見えるものもあります。

でも、Aちゃんのクレヨンのように、子ども達なりに理由

があることが多くあります。

 

それらの理由を、全部くみ取るのは難しいこともありますが、

「何か理由があるのかな❓」と気にかけて、寄り添う姿勢を持ち、

かかわりながら「『ここ』が気になるんだ」「イヤなんだ」と

伝えられるようなその子なりの手段、方法を探していくように心がけています。