ことばの種(STさんのつぶやき)
読書感想文教室
私事ですが、松山市内の学習塾で開催された「読書感想文教室」に親子で参加してきました
「STってことばの専門家じゃないの?」「子どもの読書感想文、自分で指導しないの?」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
STは「話しことばの専門家」です。
読み書きの学習や、文の理解、主語・述語関係の適当な文を作れるようにアプローチすることはありますが、
1000字を超える長文を書くことには、通常介入しません。
また、我が子が1年生の時、感想文を書かせながら泣かせてしまって以来、
作文にはあまり口出ししないことにしています😭
さて、その読書感想文教室で、「これはいいな♪」と思ったことを2点、ご紹介します。
①子どもに⭕️をつけましょう。
できないこと、大人の意図に合わないことを指摘するのではなく、
いいところ、すてきなところを伝えてあげるようにとの、保護者へのアドバイスがありました。
なるほど、せっかくがんばっているのだから、いいところを認めてもらえた方が、
嬉しいし、意欲も高まりますよね💡
②小道具として配布されたじゃがりこ🍟
感想文を書く準備として、考えをまとめるためのシートを作成したのですが、
視覚的にわかりやすく表すために、じゃがりこのパッケージの底を使って、紙面に円を描きました。
「お勉強」なのに、スナック菓子が登場する意外性で、教室全体がなんだか楽しい雰囲気に包まれました。
簡単にきれいな○が描けて、がんばった後のお楽しみにもなり、子ども達の意欲を引き出すすてきな仕掛けでした💕
我が家の場合、帰宅してから、じゃがりこをポリポリ食べながら、
学習したことを思い出したり、達成感に浸ったり…余韻を楽しんでいました。
子どものいいところに注目し、子ども自身に伝えてあげること。
子ども自身の力で簡単にできて、楽しめる工夫をすること。
活動したことに関し、満足感を持って振り返る機会を作ること。
これらのことを、普段の子育てやセンターでの活動にも取り入れていこうと思います。
ちなみに、私は毎晩我が子に「今日も元気でかわいかったから、世界一偉い!」と言い聞かせています。
ハイタデンカ
ある日、Aちゃんが登園してすぐに口にしたことばです。
「ハイタデンカ」…❓
一瞬、何のことだか分からず、スタッフ一同キョトンとしてしまいました。
でも、ちゃんと手がかりはありました。
①自分のほっぺを指差すAちゃんの仕草
②Aちゃんが妖怪👻を気に入っていること
③付き添って来られたお家の方の「歯🦷が痛くなるんだよね」という声かけ
「水木しげる 世界の妖怪大百科」2005.11.20より
これら、3つのヒントから得られた答えは、ベルギーの妖怪「歯痛殿下」ですね。
「歯痛殿下」を知っていれば、お気に入りのお化けの名前で、「歯が痛い」ことを伝えることもできそうですね。
ところで、Aちゃんのご家族のすごいところは、Aちゃんの興味や、覚え始めたことばをしっかり把握していて、
伝えようとしていることを、上手にくみ取っていらっしゃるところです。
ご家族のこうした関わりが、Aちゃんのコミュニケーション意欲を高め、
ことばの発達につながっているのでしょうね。
また、スタッフにもAちゃんの興味・ことばの情報を共有してくださるのも、
センターでの活動の大きな助けになっています。
何に興味を持っているのかな?園やセンターでどんな活動をしたのかな?といった情報を、
関わる大人みんなで共有することで、お子さんのことばがくみ取りやすくなります。
お子さんの「話したい」意欲を高める環境を、ぜひ一緒に作っていきましょう❗️
水遊びと中耳炎
夏です🍉
暑い日が続きますね🌞
センターの子ども達も、晴れた日には水遊びを楽しんでいます🏊♂️
海水浴やプール、スイミングを楽しみにしているお子さんも多いかもしれませんね。
水遊びで気になることの1つが中耳炎でしょうか?
プールなどで水に潜ると、耳に水が入って中耳炎の原因になるのではないか
とご心配される方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論から申し上げると、耳に入った水が中耳炎の原因になることは、基本的にはありません。
中耳炎とは、鼓膜の奥にある「中耳」に菌が入り炎症が起こる病気です👂️
そう、鼓膜の奥です。
外耳道(耳の穴)と中耳の間は鼓膜で区切られていますから、何らかの事情で鼓膜に穴が空いている場合を除いて、
耳から入った水や菌が中耳に侵入することはありません。
(その場合は、中耳炎よりも前に、聞こえ方に問題が生じるでしょう。)
では、水や菌はどこから中耳に入るのでしょう?
大抵の場面、それは鼻🐽からと言われます。
中耳には、鼓膜に伝わった音(振動)を増幅するための耳小骨と呼ばれる小さな骨があり、
その周囲は空気で満たされています。
(中耳炎では、ここに膿(液体)が溜まることで鼓膜や耳小骨の動きが阻害され、聞こえづらさにつながります。)
この中耳内部の気圧調整(気圧の変化でもまた、音の伝わり方が変化します。)のための空気穴があり、
耳管というパイプで上咽頭後壁とつながっています。のどの最上部、鼻の奥です。
この耳管、大人の場合は、細長く、耳側が上になるように斜めになっているため、
鼻から耳に水や菌が入りにくい構造になっています。
でも、お子さんの顔をよく見てみてください。可愛いですね
大人よりも顔が小さく、耳と鼻の距離が近いですよね。
それから、目や耳の高さ。大人に比べて、顔の低い位置にあります。
つまり、子どもの耳管は短く、水平に近い…、言い換えると、水や菌が鼻から耳に侵入しやすい構造になっています。
小さなお子さんが中耳炎になりやすいのは、このような構造的な原因があります。
さて、水遊びと中耳炎。
耳から水が入ることよりも、水遊びやクーラーで身体が冷えてしまって、
鼻水たら~り…の方が、中耳炎の原因としては大きそうです。
水遊びのあとには、しっかり身体を拭いて、風邪をひかないように気をつけてあげましょう。
風邪をひいてしまったら、早めの病院受診を。
中耳炎による聞こえづらさだけでなく、鼻づまりでの発音のしづらさも、
子どものことばの発達に影響することがありますよ。
(私はン十年前、鼻づまりのせいでマ行の発音ができないのがイヤで、
長いこと同年代の子どもとしゃべりませんでした…。)
因みに、中耳炎は治療で治りますし、中耳炎そのものがうつることはないので、
熱や痛みがなければ登園していただいて大丈夫ですよ。(水遊びの可否はお医者様にご相談くださいね。)
もうすぐ夏休み🍉
①まず、絵本をたくさん読み聞かせます。
②読み聞かせる絵本に、「おいてけぼり」(さねとうあきら著.1998.5.1)等、
のっぺらぼう👻の登場するものを多めにしていきます。
③子どもと2人、お部屋で遊びます。
④両手で顔を覆い、うつむきます。
⑤少し低めの声で「お前さんが見たって言うのは…(ためます)、こんな顔だったのかい?」と言いながら、
ゆっくり顔を上げます。顔は隠したままです。
⑥…子ども、泣きます。大号泣です😭
これは、ちょっと良くない例ですね😓
我が子が3歳くらいの頃のエピソードです。ごめんね、我が子…。そんなに怖がると思わなかったの。
両手で顔を隠した母なんて、別に怖くなんてないと思うのです。
でも、絵本を繰り返し読み聞かせることで、セリフと「のっぺらぼう」が結びついていたのですね。
また、「のっぺらぼうは怖いもの」という認識ができあがっていたのでしょう。
私の単なるイタズラ心で、我が子にはかわいそうなことをしてしまいました。
でも、これって、計画的に活用すれば、新しい経験をするための準備として使えますね。
例えば、病院受診、学校や保育園・幼稚園等の行事、冠婚葬祭。
今の時期なら、夏休みに旅行や、遠方の親戚と久しぶりに会う予定のある方もいらっしゃるかもしれません。
どこに行くのか、誰と会うのか、どんなことをするのか…。
関連する絵本を読み聞かせてあげたり、一緒に動画を見たり、簡単な説明をしてあげながら
写真や絵を見せてあげるのもいいですね。
初めての出来事は、誰だって不安です。
小さな子どもなら尚更です。
人見知り、場所見知りのあるお子さんには、こうした下準備をすることで、緊張を軽減できることがありますよ♪
※先週7月11日は、都合によりお休みさせていただきました。
お知らせ
今週のみ、諸事情により更新が週末となります。楽しみにしていただいている皆様にお詫び申し上げます。
アザラシは魚の仲間か?
最近、絵カードが気に入っているAちゃん。
箱から取り出したカードを机の上に広げ、右手で取り、左手に持ちかえ、スタッフに手渡します。
そのカードをもう1度右手で受け取ってから、1枚ずつ箱にしまいます。
一見すると単調な作業をしているように見えますが、絵を見て確かめ、ちゃんと上下の向きを揃えています。
また、Aちゃんなりの選考基準で、次に箱に入れるカードを選んでいるようです。
Aちゃん、今はまだ発語はなくて、大人の声かけにも確実に応じられるというわけではありません。
でも、このことイコール「わからない」ではないのです。
声かけだってちゃんと聞いてくれています。
その証拠に…。
カードのやり取り時、「いぬ、わんわん!」「カニ🦀、チョッキン」などと
描かれているものの名前を言っているうちに、スタッフのことばを期待して待つ様子が出てきました。
スタッフが黙っていると、「え、言わないの?」といった表情で不思議そうにしています。
少し遅れて名前を言うと、「えへへっ😄」と大満足。
絵カードの中には、絵の描かれていない文字だけのカードが2枚あります。
「これは説明書だね」と言うと、神妙な表情でじっくりと観察。
スタッフが「説明書」と呼ぶカードが2枚あることにも気づいていて、時々じっと見比べています。
本当のところ、どのくらい理解しているのかは、はっきりとは分かりません。
ただ、Aちゃん、それぞれの絵に、対応することばがあるらしいことには気づいたようですね。
そして、もう1つ、Aちゃんの気づき。
この絵カード、「うみのいきもの」と「どうぶつ」の2種類があり、「アザラシ」のカードは、
どちらのセットにも入っています。ふわふわ毛皮をまとったかわいい赤ちゃんアザラシです。
Aちゃん、サケやカツオ、イカ等の中にアザラシのカードが入っていることに違和感があるようで、
「うみのいきもの」の時には、手に取った後、必ず1度机に戻します。
そして、イルカやシャチを箱に入れた後に、ようやく納得してアザラシを箱に入れます。
まだ、Aちゃん自身もはっきり認識してはいないようですが、カテゴリー理解の始まりですね。
でんでんむしむし♪
センターでカタツムリ🐌が流行中なので、便乗して…。
今日は、お子さん達の言葉の発達とは少し離れたお話を。
デンデンムシ、カタツムリ、マイマイ、蝸牛(かぎゅう)…。
呼び方は色々ですが、これ、全部🐌のことですね。
STの領域で🐌蝸牛(かぎゅう)と言えば、「内耳(ないじ)」。
振動として伝わった「音」を、電気信号に変換して受容する器官です。
内部はリンパ液で満たされていて、カタツムリの殻(から)のように本当にぐるぐると
渦(うず)を巻いているんですよ!
音の高さを判断したり、受信した音に反応して、細胞そのものがダンスをするように動いて音を増幅したり…。
とても精密で神秘的な器官です✨
それから、ことばとの関わりで言うなら、柳田國男『蝸牛考』が有名です。
都(文化の中心地)で使われることばが、人々の移動や交流によって地方へと伝わっていき、
都では使われなくなった古いことばも、より遠く離れた地域には方言として残り続けます。
そのため、都(日本の場合は京都でしょうか。)からの距離が同じくらいの地域のことばには
似た語彙があるという説があり、柳田國男氏はこれを「カタツムリ」の呼び方の地域差によって論じています。
(『蝸牛考』の説明としては大ざっぱすぎますが、ご興味のある方は実際に読んでみてください)
松本清張『砂の器』で、この学説(方言周圏論〈ほうげんしゅうけんろん〉と言います)が
事件の鍵🔐となっていますから、推理小説ファンの方はご存知かもしれませんね。
ちなみに、こうして伝わっていくことばの速度はおよそ1km/年。
(井上史雄『日本語は年速1キロで動く』2003.7.1から)
これは、カタツムリの移動速度と同じくらいだそうですよ🐌
(でも、新型コロナの流行で、インターネットが劇的に普及した現在だとどうなっているんでしょうね?)
皆さんのおかげで…
センターの子ども達の中には、ちょっとした声かけの仕方(しかた)で
癇癪(かんしゃく)を起こしてしまう子もいます。
こうした子ども達って、「激しい」「気性が荒い」と言われがちです。
でも、そうではないような気がします。
ことばや、その他の刺激に対して人一倍デリケートな子のように感じます。
ここ、愛媛県の方言・伊予弁について、司馬遼太郎は「坂の上の雲」の中で、
喧嘩(けんか)には向かない、日本一「悠長な」ことばだと述べています。
ゆったり、のんびりしたことば遣いに慣れているので、
他地域のキツメに聞こえてしまう方言に触れたときには、少々びっくりすることがあります。
大人の声かけで癇癪(かんしゃく)を起こす子の気持ちって、ちょっとそれに似た部分があるのかなと思います。
言われていることがわからないわけじゃないんだけど、「ダメ」と否定されたことが強く印象に残って、
反発してしまう…。
なので、なるべく優しい声とことばを選んで、「○○してはダメ」ではなく、「△△しよう♪」と誘うことで、
うまく応じてくれることがあります。
センターでこうした工夫をしているうちに、大人同士のやり取りや家庭でも、
同じような関わり方が癖になってきました。
…すると、小学生の我が子がよく言うことを聞くようになりました!
無意識に、もう小学生なんだから、「こんなの言わなくてもできるでしょ!」
「どうしてちゃんとしないの!?」のような言い方になってしまい、
混乱させたり反発させたりしてしまっていたみたいです。
センターの子ども達のおかげで、我が子への対応を見直す機会になりました。
皆さん、ありがとう❤️
…でも、一切癇癪(かんしゃく)が起きないようにはできないし、
特にご家庭では、常にじっくり配慮して声かけするのも難しいですね。
お子さんが癇癪(かんしゃく)を起こすからといって、お子さんが悪いわけでも、
親御さんの関わり方が悪いわけでもないですよ!
お子さんがスムースに動ける方法を、一緒に試行錯誤していきましょうね。
走る!!ST!
何を隠そう、私は体を動かすことが大の苦手です😫
学生時代、走れば先生から「真面目に走れ!」と怒鳴られ(全速力なのに!!)、泳げば沈む…。
そんな私ですが、今は園庭で子ども達と一緒に走る、走る、走る!
本気の追いかけっこです。
STがどうして追いかけっこを?
それは、楽しく体を動かしながら、「ぼくのこと、おいかけて!」「ねえねえ、にげて♪」と遊びに誘うことや、
「タッチしたら交代だよ」という簡単なルールを理解するためのステップとして、ちょうどいいからです。
みんなで大笑い😄しながら走り回っていると、普段はお友だちの輪に入るのが苦手な子も、なんとなく加わって、
一緒に遊べることもあります。
そらチーム・にじチームの子ども達の多くは、まだ追いかけっこのルールを完全には理解していません。
だから、ただただお友だちやスタッフと走り回るのが楽しくて、ST、延々と追いかけ回すこともしばしばです。
そんな時、くじらチームのお兄さん・お姉さんがいると、大活躍してくれます❗️
「Aちゃん、タッチだよ。」「つぎはBちゃんだよ、いっしょにおいかけよう!」と声をかけ、手を引き、
小さなお友だちがルールに沿って遊べるように優しくサポートしてくれます。
走り疲れてヘロヘロしているSTの様子に気づいて、鬼役をタッチ交代してくれることもあります。
(なんて優しい!)
親御さんの体力づくりと、お子さんとのコミュニケーションに、追いかけっこ、オススメですよ。
とまと、ちょうだい!
ミニトマト🍅、大好きなお子さん、多いですね。
センターの給食にも、ミニトマトはよく登場します。
にじチームの給食での1コマです。
ミニトマトがだ〜い好きなAちゃん、自分のお皿のものを食べ終わると、
ジェスチャーで「おかわり、ちょうだい」と伝えてくれます。
スタッフのお皿のミニトマトを指差して、「もう1回」と「ちょうだい」のジェスチャーを続けることで、
「これ、もう1個、ちょうだい」と伝えてくれることもあります。
最近、Aちゃんと私が気に入っているやりとりです。
私:はい、トマト、どうぞ。1個、2個…○個あげるね。
Aちゃん:(もぐもぐ)いち…、(もぐもぐ)に…、(もぐもぐ)さん…。
発音は明瞭ではありませんが、指を立てながら「5」まで数えることができます。
「6」以上になると(片手の指では足りないので)、「5」の指を繰り返しながら、
「あれ?」という表情で首を傾げています。
…ということは、たぶん「6」以上も頭の中では数えることができているのでしょうね。
先日、ちょっと試してみたのが…。
「トマト、何個欲しい?1個?2個?3個?」
…Aちゃん、ちょっと考えてから、かわいいおててを「パー✋」にして、「お(5)!」と答えてくれました❗️
お皿の上のミニトマトは、5個でした🍅
数字の順番通りに追わなくても、ちゃんと数えることができているんですね。
おみそれしました…。
はっきりとした「ことば」が出にくいお子さんの場合、何も分かっていないように思われがちで、
意思確認をしてもらえる機会が少ないことがあります。
でも、「ことばでの発信が少ないこと」と、「わからない」ことは、イコールではありません。
時々、こうして質問を投げかけてみるといいかもしれませんね。
ちなみに、私のお皿のトマト🍅(もちろん、お箸をつける前の物ですよ)は、
Aちゃんのお腹に収まることが多いのですが、私は実はトマトが苦手なので、2人はwin-winの関係です❤️