2022年11月の記事一覧

実物とイラスト

私が小学生(中学生だったかも?)の頃の、国語の教科書に載っていたエピソードです。

 

どこだったか、いわゆる「未開の地」の少数部族の子ども達に、カエル🐸のイラストを描いて見せると、「カエル」だと伝わらなかったと言うのです。

 

キャラクター化されたかわいい「カエル」の絵を、私たちは「カエル」と認識するけれど、それは、その文化の中で学習された結果であって、普遍的に通用するものではないというお話だったと思います。

 

そう考えると、子ども達への「視覚支援」の在り方も、少し考えないといけないことがあるように思います。

 

「絵を見せても、ちっとも伝わらない、応じてくれない…。」という時、その視覚支援は、そのお子さんの発達段階にとって適切なものを提示できているでしょうか?

 

「小さな子どもだから、かわいいイラストで❗️」という配慮は、もしかしたら逆効果の場合もあるかもしれませんよ。

 

ことばを含む様々な認知(学習)が未熟な場合に、認識しやすいのは、実物(その子が実際に使うもの)→実物(同じ用途・カテゴリーの別のもの)→写真→写実的な絵→イラスト→文字の順になるでしょうか?

 

これらを大人が意識することなく、その時期を通過してしまうことも多いのですが、ゆっくり発達していく子どもの場合は、少し気をつけてあげるといいですね。

 

もし、お子さんがかわいいイラストで構成された絵本に興味を示さないようなら、視覚支援は写真や実物で行ってあげた方がわかりやすいかもしれませんよ。

 

ただし、提示されたものの意味は理解していても、別の理由(「見たけど興味がない」とか、「今はしたくないよ❗️」とか、「今している遊びを続けたいんだ🧸」とか…。)で応じられないという場合もありますので、要観察🔍です。

「先生」が大好き❤️

センターの子ども達と一緒に近所の公園へお出かけした時のことです。

 

何組かのご家族連れの先客があり、一緒に遊ばせてもらいました。

年齢の近い子ども達ですから、追いかけっこしながら笑い合ったり、

遊具の順番を譲り合ったり、時には取り合いになりそうになったり…。

良い刺激になり、子ども達、とても楽しめた様子でした。

 

その中の1人のお子さんは、ニコニコと全開の笑顔で近づいてきて、

私たち職員ともたくさん関わってくれました。

 

「先生」というものが大好きなのだそうです。

 

どちらの園に通われているのかはお聞きしませんでしたが、

きっと優しく温かい雰囲気の園なのでしょうね。

 

お母さんは、ただの世間話として話してくれましたが、

このことは、お子さんにとって素晴らしい宝物だと思います。

園生活を安心して送れるだけでなく、「大好き❤️」な人の声かけや促しは聞き入れやすく、

ことばや生活習慣、様々な活動が身につきやすいからです。

 

子どもって、わかりやすい声かけや関わり方をしてくれる大人のことが、「大好き❤️」です。

それは元々の相性である場合もあれば、大人の側の工夫による場合もあります。

そのどちらであっても、自分に合った対応をしてくれる人の言うことなら、安心して受け入れられますよね。

 

センターの子ども達の中にも、特定の「大好き❤️」な職員の関わりであれば、

苦手な活動にも参加できる子は多いですよ。

 

また、子どもの「世界🌍」は、大人が思う以上に狭いです。

園やセンターの職員=「先生」は、家族以外の「大人」の全てに近い意味があります。

「先生」が「大好き❤️」ということは、大人を信頼できると子どもが

思えることでもあります。

これは、将来の「生きやすさ」の基盤にもなる、大切なことです。

 

センターの子ども達も、「大人」は自分たちの味方だよ、「世界🌍」って結構悪くないところだよと

信じられるように、今まで以上に関わり方に工夫をしていこうと思った出来事でした。

未来の秀才たち

Aちゃんは文字や数字が大好きです。

 

五十音表を眺めたり、「あいうえお」の絵本を音読(❗️)したり、スタッフにひらがなを書いてもらったり(ヒモ状に延ばした粘土でひらがなの形を作ることも…)して、楽しんでいます。

 

なんとAちゃん、スタッフが筆順を間違えると気がついて、「もう1回❗️」のジェスチャーで書き直すように

促してくれるんですよ。

 

最近は、保育室のロッカーや椅子に貼ってあるお名前シールを指で追いながら、読み上げることもできます。

そのお名前のお友だちの方に視線を向けているから、「音」として読み上げているだけでなく、「お名前」と

「お友だち」がちゃんと結びついているんですね。

 

Aちゃんの椅子に、お友だちが座って遊んでいたときのことです。

別の椅子を勧めると、お名前シールをそっと指でなぞって、「でも、ボクの椅子はこっちだよ」と教えてくれた

こともあります。

 

アルファベットにも興味が出てきました。

保育室に貼ったアルファベットの表を指差して、スタッフに「読んで♪」と訴えます。

スタッフの洋服のロゴを読んでみたり、洗濯バサミを持ってきて、両手の指で「A」のような形を作って、

「ねえ、これ、『A』に似てる😊」と見せにきたり…。

とっても勉強熱心です。

 

そんなAちゃんに触発されたのか、同じチームのBちゃんもアルファベット表を読んでもらうことが

「マイブーム💕」になっています。

 

2、3歳の子どもたちが、現時点でアルファベットが読める必要はないのですが、文字と音の結びつきに

気付いたり、意図した文字を確実に指差したりすることができるようになれば、ことばやコミュニケーションの

幅が広がりますね✏️

 

今はまだ、ことばを使ったコミュニケーションは少ないAちゃん、Bちゃん。

「文字」と「音や意味」の関係、文字を使って気持ちを伝えられることを理解した時、2人の世界は

どんな風に広がっていくのでしょう?

 

小さな秀才たちの将来、とっても楽しみです。

「同じ音」を聴いているの?

ここ最近、音楽を聴きに行く機会に恵まれ、週末ごとに我が子と一緒にコンサート等に出かけています。

(もちろん、感染予防には気をつけていますよ!)

 

その中で、ジャズオーケストラを聴いた際に思ったことです。

 

「この子と私が聴いている音は、本当に同じ音なのかな?」

 

…というのも、私が心地良くジャズを楽しむ隣で、我が子も熱心に聴いていたのですが、途中で「頭と耳が疲れた…😓」と。

 

そう言えば、実は私、高校生くらいの頃まで金管楽器📯の音がとても苦手でした。

特に高い音が鼓膜👂にビリビリ響くような気がして、しんどく感じていたのですが、今は音全体がまろやかに聴こえるような気がします。

 

結論としては、同じ音源を聴いても、実際に「聴こえている」音は、多分、違います。

 

ヒトの耳には、ただ音を受信するだけでなく、耳たぶや耳の穴(トンネルの中で音が響くイメージ)、鼓膜とその奥にある耳小骨(じしょうこつ)という小さな骨などによって、音を増幅する機能があります。

主に言語音に含まれる周波数の音を増幅し、ことばを 聴き取りやすくしているわけです。

 

この増幅機能は、本人の意思によって音を取捨選択しているわけではなく、耳👂の形状や大きさ等によって、いわば構造的に決まった音を増幅します。

 

ここで思い浮かべていただきたいのですが、子どもの頃、ガラス瓶🫙や空き缶🥫の口にフーっと息を吹き込んで音を鳴らして楽しんだことはありませんか?

 

瓶や缶の大きさ(径の太さや、背の高さ等)によって、音の高さが違っていましたよね?

器が小さいほど高い音、大きいほど低い音が出たかと思います。

 

ヒトの耳👂も同じで、小さいとより高い音、大きいとより低い音を増幅します。

(それに加え、20代くらいをピークに、内耳機能の低下により聴力は緩やかに低下します。この機能低下は、大抵の場合、高音域を担当する細胞から起こります。)

 

つまり、大人に比べ、子どもの耳👂には、高い音が強く聴こえていることになります。

「同じ音♪」を聴いているはずなのに、なんだか不思議ですよね。

 

「ママに比べて、自分への注目がイマイチだな…。」とお悩みのお父さん、ちょっと意識して高めのお声で話しかけてあげるといいかもしれませんよ❗️