ことばの種(STさんのつぶやき)
花が咲く前のこと
少し季節外れの話題になるのですが。
桜🌸を使って草木染めをすると、
鮮やかなピンク色になるそうです。
花びらではなく、
樹皮を使うのだそうですが、
その美しい色が出せるのは、
花が咲く直前の、ほんの短い時期
だけなのだとか…。
外観からはわからないけれど、
開花に向けて、木全体で準備を
進めているのですね。
このことは、子ども達の成長と
似ているなと感じます。
ことばを話し始める前、
子ども達の心や身体は、
大人には見えにくいところで
少しずつ準備が整えられています。
今年度からセンターに来られている
お友だちのエピソードをご紹介します。
初めてお母さんと一緒に登園した頃、
まだことばは出ておらず、
大人の声かけにもあまり興味がない
ように見えました。
少しずつ、大人が提示する
おもちゃや絵に注目することが増え、
5月に入った頃からでしょうか?
「おはよう」「さようなら」の
集まりときの歌(手を叩くなど、
簡単な振り付けがあります)を歌う時、
職員の様子をじっと見つめるように
なりました。
それから、正面にいる職員と、
別の職員を見比べるように…。
「この人たち、同じ動きをしているな」
「同じような声を出しているみたい」
大人の行動への興味。
それから、その行動に何か意図がある
らしいという気づきです。
そして、今。
2文字程度の短いことばを
言えるようになってきています。
初めての「ことば」を聞くまで、
子どもがわかっていない、
成長していないように
感じるかもしれません。
でも、開花に向けて、
全身で花びらの色を作り上げていく
桜の木と同じように、
子ども達も、水面下で
発語に向けて準備を進めているのです。
大人の関わり(ことばかけや、指差し、
おもちゃを見せる等)に興味を
持っているか、自分から何かを伝えよう
と指差したり、手を引いたりする行動が
あるか、視線が合うか等々。
こうした日々の小さな(小さいように
見える)変化は、花が咲く前の大切な
下準備なんです🌸
子ども達のことばの花が咲く
その瞬間を楽しみに、見守り、
支援していきたいと思っています。