ことばの遅れと方言
発達障がいの子ども達は方言を話さないと言われます。
必ずそうだというわけではありませんが、確かにテレビ等に出演される、発達障がい当事者の方は、標準語で話されることが多いような気がしますね。
この理由はいくつかの説があり、代表的なものとしては、2通りあります。
1つには、言語習得のソース📕の問題。
いわゆる「定型発達」の子ども達の場合、周囲の人たちの実際のコミュニケーションから言語を習得していくことが多いかと思います。
ところが、発達障がいの子ども達は、周囲の人たちの行動や状況を参照することが苦手だと言われています。
そのため、家族やお友達の現実のやりとりよりも、テレビ📺や絵本などから、いわば「学習」によって言葉を習得する方が容易なようです。
テレビや絵本の登場人物は、標準語を話すことが多いですよね。
言い間違いや省略があり、その場限りで同じフレーズを繰り返すことが少ない、「生」のコミュニケーションに比べ、テレビや絵本のことばは、推敲を繰り返した、言わば完成形のことばであり、また、随時「リピート」することもできます。
発達障がいのお子さんだけでなく、ことばの習得が苦手なお子さんにとっては、より易しい「教材」と言えるかもしれませんね。
2つ目は、心的な距離の問題。
方言は、基本的にはある程度親しい関係で遣われることばです。
相手によっては「失礼❌」「なれなれしい❌」言い方になってしまう方言は、遣い方が少し難しいですね。
また、歴史的に人の流入の多かった地域の場合、敬意の度合いによっても方言と標準語の遣い分けがある場合もあり、方言使用のルールはより複雑です。
発達障がいの子ども達は、他者との心的な距離感を測るのが不得意だと言われます。
発達障がいでなくても、子どもは言語学習も人間関係も初心者です。
相手との関係によってことばを遣い分けるのは、なかなか難易度が高いですよね…。
誰に対しても、どの場面で遣っても「❌」でない標準語は、安心しできることばなのかもしれません。
個人的にはもう1つ、方言よりも標準語が扱いやすいと思う要素があるのですが、それについてはまたの機会に…。