「ぎるぎるぎる」⁉️
「初語」とは、子どもが初期に獲得した
ことばを指します。
その音の連なりが安定して聞かれる
(その「ことば」をよく言う)こと、
意味を持っていることで、それまでの
意味を持たないない発声(喃語:なんご)
と区別されます。
大学時代の友人の話です。
生まれて初めてしゃべった「ことば」は、
「ぎるぎるぎる」なのだそうです。
…意味はわからないそうです。
それって初語って言えるのかな?と、
当時は疑問に思ったものです。
今は、それはきっと「ことば」だった
のだろうと思います。
意味は、「なかった」のではなく、
大人が「読み取れなかった」のでしょう。
辞書に載っているような、
公式なことばだけが「ことば」
ではありません。
方言学の分野にはvariety of language
(言語変種)という概念があり、
例えば、ある家庭の中だけで使用され、
広く一般には伝わらないような単語、
言い方も、「ことば」のバリエーション
の1つ(家庭変種・家庭内方言)である
と認めています。
更には、「個人変種」などという概念も
あり、その人個人しか使わない「ことば」
もまた、言語なのです。
例に挙げた「ぎるぎるぎる」も、大人には
意味がわからなかったけれど、
その子自身は確かに何らかの意味を持たせて
発した、「ことば」だと読み取ったお母様の
観察力と愛情を感じる「初語」ですね。
「まだことばが出ない」と大人が思って
いる子どもたちも、もしかしたら、
子ども達なりの「ことば」でお話して
いるかもしれませんよね。
こうした、「ことば」を、ことばとして
認め、真似たり、ほめたり…。
反応を返してあげることで、
コミュニケーションへの意欲が高まり、
より伝わりやすい「ことば」を獲得
することにつながっていきます。
子どもたちのことばの発達を見守る時、
「ぎるぎるぎる」という音の連なりを、
「ことば」として拾い上げた、
この友人のお母様の姿勢と感性を、
見習いたいと思っています。